（2004年4月13日 カナディアンプレス）

（オタワ）カナダのポール・マーティン首相は、中国との貿易に関わる抗議にもかかわらず、ダライ・ラマに謁見する最初のカナダの首相になるだろう。マーティン首相は、来週にチベットの精神的指導者でノーベル賞受賞者のダライ・ラマに会うことに決めた。首相サイドはそのミーティングでは政治的問題よりも精神的なものを取り上げることを強調している。

「首相は、精神的指導者としての認識で、ダライ・ラマ法王に会う。その枠組みの中で適切であると思われるものを我々はアレンジするつもりである」—首相報道官

仏教徒より活仏と崇められているダライ・ラマは4月19日にカナダに到着、5月5日まで滞在し、バンクーバー、オタワ、トロントを訪れる予定。カナダの四番目の輸出市場に拡大している中国は、マーティン首相にダライ・ラマに会わないよう要求している。中国政府はチベットの精神的指導者ダライ・ラマをチベットの危険な分裂主義者であると見ている。オタワの中国大使館は、先週次の様な文書を発表した。

「カナダ政府はいかなる立場、いかなる形態であろうとダライ・ラマに会うべきでない。二国間の相互関係を乱し、ダメージを与えない様に。そして、ダライ・ラマのカナダ訪問は、中国を分裂させるための活動の一環であり、国家の統一を損なうものである」

それに対して、カナダの首相報道官はこう述べた。

「カナダは中国との貿易関係に重きを置いている−それは、年間およそ200億ドルに上る。しかし、マーティン首相はダライ・ラマに会うことを希望している」

ダライ・ラマが亡命して以来、中国は、その仏教地域を非合法化し、何百もの僧侶を投獄した。ダライ・ラマのカナダの支援者たちは、国会で161もの署名を集めた。その中には、アーウィン・コトラー司法長官も含まれる。支援者たちは、4月12日マーティン首相がダライ・ラマに会うことを聞き興奮、首相がその機会をダライ・ラマと中国がチベットの将来について、もっと多くの対話を持つよう圧力をかける機会として利用する様促した。

「我々はとても嬉しく、元気付けられている。我々はカナダの首相に、チベット問題に関して、ダライ・ラマ法王と中国の間を取り持つ誠実な仲介者としての役割を担って頂きたいと思っている。そして、その事は、チベットの指導者からの要求によるものではなく、政治的アジェンダであってもらいたい。法王は私たちにはっきりと、この訪問によって国の指導者に迷惑をかけるべきではないとおっしゃいましたが」—チベット支援団代『カナダチベットコミティ』のチベット人メンバー

ダライ・ラマと会談することで、マーティン首相はクレティン前首相とワンステップ切り離すつもりだ。

クレティン前首相は、何百ものビジネスリーダーと州知事を含む多くの貿易使節団を中国に送った。彼は発展する巨大なマーケットとの商業的関係を良くしようという狙いがあったからだ。その他、新しいCANDU核原子炉を動力の不足している中国に売り込もうと躍起であると推測されていた。しかし、クレティン前首相は、何度となく人権問題について中国に語りかけたが、ダライ・ラマには決して会おうとしなかった。

ダライ・ラマは、アメリカのブッシュ大統領やクリントン前大統領ら数多くの国の指導者と会見してきている。モスクワには無視されたが、1999年にはイギリスのブレア首相と会談している。しかし、今年のダライ・ラマのイギリス訪問の際には、ブレア首相は時間が調整できないと会談を断っている。